玉子焼きがブルブル

 
(後日記載)
 
「あ〜、おれ、おとなしく、行くわ!」
 
午前中の理・数・英の3教科を終わって、昼食の時間に保護者控え室に来るなり、言われる。飛の物言いはいつも分かりにくいのだけれど、どうも駄目だったらしい。詳しく聞くのもどうなんだろうと思いつつ、聞いてみると、数学がさっぱり出来なかったようだ。なんかそんな気はしてたけど。
 
「まだ、手が震えてるよ。」
 
箸に挟まれているお弁当の玉子焼きがブルブルしている。そんなになってしまっては、解けるものも解けないだろうね。まあ、解けないからそうなったんだろうけども。そんなになっていても、お弁当はあっという間に完食している。私はサッパリ食べられませんけども。
 
食堂に一緒にいる他の受験生と保護者の空気もとても重苦しい。どうやらうちの子だけが出来なかったわけではなさそうだけれど、ほとんどあきらめムードが漂う。しかし、ここで諦めさせてもなんのプラスもないので、しつこくならない程度にお話しする。
 
「大丈夫。あと、国語と社会がある。得意でしょ?2教科あるんだから、三分の二も残ってるんだよ。あ?五分の二だわ。まー、トニカク、半分近く残ってるんだから。」
 
と、二教科の意味で二本指を見せて、午後の試験に送り出す。なんか、Vサインみたいだなぁ〜。う〜ん。と思いながら。
 
私はと言えば、会津短大の学生さんが食堂に置き去りにしていたと思われる「ミクロ経済学」という本を一冊おわしてみた。ボーっとしていても良かったのだけど、ボーっとした気が伝わったら嫌な気がして、試験の時間は全部お勉強していたのだ。
 
商売人になってから、経済学ってどんなもんだろ?と思っていて、勉強してみたかったから、ちょうど良かった。教育学と同じで、実際、めちゃめちゃ役に立つというものでもないだろうと思っていたけれども。
 
かなりさらっとおわしたミクロ経済学の印象は、「レゴブロックが動いてるみたい。」だった。経済学というのは、複雑な経済活動から何かを純粋に抽出して検証するということらしい。文系なんだろうけども理系な感じもした。
 
お商売に役立つかといえば、直接的にはどうかわからないけれど、考え方としては、やっぱり知っていたほうがいいような気がした。自分の考えを権威付けられるのはいいことだろうから。それに、ただ面白くもあったから、マクロ経済とか、もうちょっと進んだ話も読んでみたいと思った。