私の根性が足りなかったせいで、わが子は一人っ子だ。一人っ子にしておいて言うのもなんだが、「一人っ子ってだめなんだ。」と思っていた。店でお客さんと子供の話をすると、ほとんどの場合、「一人っ子はだめ。」と言われる。「一人っ子にするなら産まない方がいい。」とまで言われたこともある。世間一般の認識でも、「一人っ子」=「わがまま」=「社会性なし」=「登校拒否」=「だめ」といった感じであろう。しかし、最近はそうでもないと思えてきた。

 親友も一人っ子。姉の子供も一人っ子。いとこにも一人っ子がいる。みな、私などよりよっぽど素直で社会性がある。自分自身の存在を疑うことをがないので、世間に出てもなんら臆することがないようだ。日々兄弟姉妹と比べられ「自分て何?」と思うことなく「自分は自分」とのびのび過ごし、他の人との比較で獲得する「卑屈な自信」ではなく、「疑う余地のない自信」を備えるのだろう。見ていてうらやましい。

 何もヒステリックに「一人っ子、最高!」などと言う気はない。何事も一長一短。自信も過剰になればそれはわがままになるのだから、一人っ子に不足しがちな客観性を身につけられるよう配慮は必要だ。11年もクドクドと考えてしまったが、兄弟がいてもいなくても、愛を持って育てればいいのだと気付いた。もっとクドクドしてみると、愛さえあれば自分の子供、自分の配偶者、自分の親と、取り立ててこだわらなくても良いような気がしてくる。でも、やっぱりこだわりを捨てきれない小さい私である。